証券口座乗っ取り被害の早期全面救済と横断的指導を金融庁に要請
- 8月15日
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証券口座乗っ取り被害の早期全面救済と横断的指導を金融庁に要請

私たち証券口座のっとり被害者の会は、本日2025年8月14日付で、金融庁監督局証券課に対し、証券口座乗っ取り被害に関する要請書を提出しました。
近時、オンライン取引での不正アクセスをきっかけに、本人の意思に反して有価証券などの顧客資産が処分される事案が相次いでいます。私たちは被害者の方々から委任を受け、各証券会社との協議や、モデルケースについては預託物の返還などを求める訴訟を進めています 。しかし、各社の対応にはばらつきがあり、同じような被害であっても救済の水準や手続きの速度が大きく異なるのが現状です。そこで私たちは、金融庁に対し、監督権限のもとで各証券会社に「原状回復を原則とする早期の全面救済」を統一的に指導していただくことを強く要請しました。具体的には、現物返還が可能なものは速やかに現物で返し、不可能なものは価格相当額の全額を速やかに支払うことで、被害者が本来の経済的地位を迅速に回復できるよう、期限と工程を伴う実施を明確に求めるようお願いしています。
金融庁の公表によれば、直接的な被害額はすでに5700億円を超えています。しかし、問題はこれだけではありません。不正な売買や移転が市場価格の形成に与えた影響は小さくなく、相場操縦などによって価格が歪められた結果、当該銘柄を保有していた株主全体が被った間接的な損害は膨大な規模に及びます。これは、もはや個別の紛争の域を明らかに超える、大きな社会問題です。市場の公正と健全性を守るためにも、監督当局による早期かつ横断的な解決が不可欠であると考えています。
なぜ全額の返還が必要なのか。それは、顧客と証券会社の間に保護預り等の契約関係があり、証券会社は預託された資産を返す債務を負っているからです。たとえ第三者の不正アクセスがあったとしても、この返還債務は原則として消滅しません。現物返還が不可能な場合、同等の価値(価格相当額)を全額支払うことで原状回復を図るのが妥当です。これは、投資判断の結果に関わる損益の問題ではなく、預かった資産を元の通り返すという基本的な契約上の責務の問題です。
この問題は、被害者個々の生活と資産に直結する切実な問題であると同時に、我が国資本市場の公正性・健全性に対する信頼を左右する国家的な課題です。私たちは、金融庁の強いリーダーシップのもと、早期の全面救済が実現することを切に願っています。
また、被害の実態や被害者の置かれている状況について直接ご説明する機会を賜りたく、直接面談のお願いもさせていただきました。団長の河合弘之をはじめ担当弁護士が、具体的な事例や現場の課題、救済の進捗状況などを整理してご報告する所存です。
金融庁への提出要請書



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